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硬式野球部からメディア掲載についてのお知らせ(高校野球リーグ戦)

2021年11月17日付茨城新聞

牛久、伊奈、土浦一 高校野球でリーグ戦 控え選手も出場機会 プレーの楽しさ味わう


トーナメント戦が中心の高校野球で、牛久、伊奈、土浦一の3校が独自のリーグ戦を始めた。今月13日に開幕し、20、21日と3日間かけて戦う。負けたら後がない一発勝負のトーナメント戦は出場選手が限定されがちだが、リーグ戦では多くの選手が出場機会を得られるのが魅力の一つ。伊奈の藤田大輔監督(39)は「選手に野球本来の楽しさを味わってもらい、選手育成につながれば」と期待している。

 現状の高校野球は公式戦として春、夏、秋の大会があるが、いずれもトーナメント戦。県内ではほかにも地区ごとに「準公式戦」と呼ばれる大会も行われているものの、負ければ1試合で終わってしまう方式が多い。

 トーナメント戦を勝ち抜くためエースが連投するなど、レギュラーの負担が大きくなる一方で、控え選手の経験値が高まらない“弊害”を指摘する声もある。さらに、指導者が「勝利至上主義」になる傾向があり、度を超した厳しい指導や、勝つためにスポーツマンシップに反した戦術を取るケースも出てくる。

 こうした「欠点」を補うため、3校はリーグ戦実施を決めた。開催に当たり、失敗を恐れず挑戦する勇気と、勝利を目指して全力で取り組むことを理念として掲げた。相手を「敵」ではなく「仲間」と感じられるよう、選手や指導者間の交流も積極的に促し、知識や技術を互いに高め合うこととした。

 選手の負担軽減や積極的な交代を促すため、投手1人の投球数は1日100球以内に制限し、変化球はその2割以内とした。打者は低反発金属バットか木製バットを使用。指名打者制度や、一度ベンチに退いた選手が再び出場する「リエントリー」も採用した。このほか、女子選手や卒業後も野球を継続する意思がある3年生の出場も可能。リーグ戦終了後には活躍した選手を表彰する。

 牛久高グラウンドで行われた13日の開幕節では、牛久と伊奈が2試合を戦った。両校とも全員が、背番号のある公式戦用のユニホームを着用。公式戦では見られない21番以降の背番号の選手も出場した。1試合目は牛久が25人、伊奈が13人、2試合目は牛久が27人、伊奈が12人を起用し、2試合を通して全員がプレーした。

 自立を促すため、この日は両チームとも選手たちがオーダーを決め、交代の指示やサインも選手自らが出した。伊奈の小磯温斗主将(2年)は「トーナメント戦とは違った楽しみがあった。秋の大会では控えだった選手も頑張り、もっと強くなれる可能性を感じた」と振り返った。女子選手の牛久の飯塚空(同)は「3年間、試合には出られないと思っていたので、すごく緊張したけど、出場できてうれしかった」と喜んだ。

 開幕節を終え、牛久の竹内啓明監督(35)は「選手には厳しい練習を耐えただけで、高校野球を終えてほしくない。野球の楽しさを知り、卒業後も野球を好きであり続けてほしい。野球人口減少の歯止めにもつながればうれしい」と願った。

 今後について、藤田監督は「来年以降は参加校が増える予定。多くの学校は1年前から練習試合の日程を組んでおり、調整など困難な部分もあるが、少しでも多くの試合ができ、球場でプレーできるようにしていきたい」と希望した。